中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金(業務改善助成金)

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通常コースの概要

業務改善助成金は、賃金引上げに際しての負担を軽減することにより最低賃金の引上げに向けた環境整備を図ることを目的としており、通常コースでは、「事業場内で最も低い賃金」を一定額以上引き上げるとともに、生産性向上につながる設備投資(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練)などを行った場合に、その費用の一部を助成します。

助成金の支給条件

この助成金では以下の2つの取組を行うことで助成金が支給されます。

ⅰ)賃金引上げ計画を策定すること

雇入れ後3月を経過した労働者のうち、事業場内で最も低い時間当たりの賃金額(以下、「事業場内最低賃金」という。)を表2(※)のコース区分毎に定められた引上げ額以上に引き上げるとともに、就業規則等でその引上げ後の賃金額を事業場で使用する労働者の下限の賃金額とすることを定める必要があります。

ⅱ)生産性向上、労働能率の増進に資する設備投資等を行い、その費用を支出すること

※ 生産性向上に役立つ設備投資等を行う取組に関連する費用として、業務改善計画に計上された経費(関連する経費)がある場合は、その費用も支払うことが必要です。 ※ 交付決定前に行った設備投資等は助成対象となりません。

助成金の対象となる事業場

ⅰ)表1で定めるいずれかに該当する中小企業事業者であること

ⅱ)事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30 円以内であること

助成金で受けられる助成金額

上記2のⅰ、ⅱの要件を満たした場合に、ⅱで要した費用に表2④で定める助成率を乗じた額又は表2②の人数に応じて③で定める上限額のいずれか低い額を支給します。

〇 事業場内最低賃金の引上げ

ⅰ)全ての労働者の賃金を新しい事業場内最低賃金以上まで引き上げる必要があります。

ⅱ)賃金を引き上げる労働者数に応じて助成上限額が変動します。(表2③)

ⅲ)事業場内最低賃金の者以外でも、申請コースの額以上賃金を引き上げた場合は引上げ人数にカウントされる場合があります。

<例:事業場内最低賃金900円、30円コースの場合>

全労働者の賃金を930円以上へ引き上げる必要があります。

○事業場内最低賃金等の計算方法について

①日給の場合:1日の所定労働時間で、賃金額を除算して時間あたりの賃金額を算定します。

②月給の場合:1ヶ月の所定労働時間で賃金額を除算して時間あたりの賃金額を算定します。

③歩合給を含む場合:歩合給については、申請直近の1年間(雇入れ後1年に満たない者については少なくとも3月間)の合計額を、その間の総実労働時間で除し、除した額に、固定給の時間当たりの額を加えて算定します。

※以下の手当は最低賃金に算入しません。

臨時に支払われる賃金、1月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)、時間外労働・休日労働・深夜労働(22時から5時までの労働)に対する割増賃金、精皆勤手当、通勤手当、家族手当、など

不交付要件(交付要綱第4条第5項)

以下に該当する場合は、交付の対象となりません。

① 交付申請書の提出日の前日から起算して3月前の日から支払請求手続を行った日の前日又は賃金額を引き上げてから6月を経過した日のいずれか遅い日までの間に、

ア .当該事業場の労働者を解雇した場合(天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇した場合を除く。)、その者の非違によることなく勧奨を受けて労働者が退職した場合又は主として企業経営上の理由により退職を希望する労働者の募集を行い、労働者が退職した場合

イ .当該事業場の労働者の時間当たりの賃金額を引き下げた場合

ウ .所定労働時間の短縮又は所定労働日の減少(天災事変その他やむを得ない事由のために事業の正常な運営が不可能となった場合又は法定休暇の取得その他労働者の都合による場合を除く。)を内容とする労働契約の変更を行い、月当たりの賃金額を引き下げた場合

エ .同一の助成対象経費や賃金引上げを対象として国又は地方公共団体から補助金等の交付その他これに類する助成等を受けている場合

②過去に業務改善助成金の交付を受けた事業場であって、当該助成事業完了日以後の労働者の賃金額が当該助成事業において定めた事業場内最低賃金額を下回る場合

③ 交付申請書の提出日の前日から起算して1年前の日から支払請求手続を行った日の前日又は賃金額を引き上げてから6月を経過した日のいずれか遅い日までの間に、労働関係法令に違反していることが明らか(司法処分等)となった場合 その他にも不交付要件があるため留意が必要です。

対象となる経費

助成対象となる経費については、生産性向上、労働能率の増進に資する設備投資等であって、表4のAに区分される経費です。ただし、次の「特例措置の対象事業者」に該当する場合、表4の経費区分の一部が拡充されるほか、生産性向上等に資する設備投資等を行う取組に関連する費用として業務改善計画に計上された経費(表4のB 関連する経費)についても、助成対象としています。

(特例措置の対象事業者)

・新型コロナウイルス感染症の影響により、生産量(額)又は売上高等事業活動を示す指標(生産指標)の最近3か月間の平均値が前年、前々年又は3年前同期に比べ、15%以上減少している事業者

・原材料費の高騰など社会的・経済的環境の変化等の外的要因により、利益率(申請前3か月間のうちの任意の1月における売上高総利益率又は売上高営業利益率)が、前年同月に比べ3%ポイント以上低下している事業者

参照:   厚生労働省 中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金(業務改善助成金) 申請マニュアルより抜粋

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