働き方改革推進支援助成金とは?

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助成金の概要

生産性を高めながら労働時間の縮減等に取り組む中小企業・小規模事業者や傘下企業を支援する事業主団体に対して助成するものであり、中小企業における労働時間の設定の改善の促進を目的としています。

厚生労働省のホームページにおいて、令和5年度の交付申請受付開始とあるのは次の5つのコースです。

  1. 働き方改革推進支援助成金 (適用猶予業種等対応コース)
  2. 働き方改革推進支援助成金 (労働時間短縮・年休促進支援コース)
  3. 働き方改革推進支援助成金 (勤務間インターバル導入コース)
  4. 働き方改革推進支援助成金 (労働時間適正管理推進コース)
  5. 働き方改革推進支援助成金 (団体推進コース)

今年度、1の適用猶予業種等対応コースが新設されました。

建設業、運送業、病院等、砂糖製造業といった、適用猶予業種等へ時間外労働の上限規制が適用されます。このコースは生産性を向上させ、時間外労働の削減、週休2日制の推進、勤務間インターバル制度の導入や医師の働き方改革推進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主に向けたものです。

今回、こちらについて解説をさせていただきます。

支給対象となる事業主

令和4年10月1日以後に転換を行う場合には、以下の改正点に関して注意が必要です。

支給対象となる事業主は、次のいずれにも該当する中小企業事業主です。

①労働者災害補償保険の適用事業主であること。

②交付申請時点で、「成果目標」1から4の設定に向けた条件を満たしていること。

③全ての対象事業場において、交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備していること。

④以下のいずれかに該当する中小企業事業主であること。

常時使用する労働者数が300人以下もしくは資本金または出資額が3億円以下(病院等については5,000万円以下)の下記のア~エまでの業種

  ア.建設業  イ.運送業  ウ.病院等  エ.砂糖製造業

成果目標の設定

支給対象となる取組は、以下の「成果目標」1から4のうち1つ以上選択し、その達成を目指して実施してください。業種毎に選択できる目標が異なります。

1 (1):全ての対象事業場において、令和5年度又は令和6年度内において有効な36協定について、時間外・休日労働時間数を縮減し、月60時間以下、又は月60時間を超え月80時間以下に上限を設定し、所轄労働基準監督署長に届出を行うこと(建設業、運送業、砂糖製造業が選択可能)

1 (2):全ての対象事業場において、令和5年度又は令和6年度内において有効な36協定について、時間外・休日労働時間数を縮減し、月80時間以下に上限を設定し、所轄労働基準監督署長に届出を行うこと(病院等が選択可能)

2:全ての対象事業場において、4週5休から4週8休以上の範囲で所定休日を増加させること         (建設業が選択可能)

3:全ての対象事業場において、9時間以上の勤務間インターバル制度の規定を新たに導入すること(運送業、病院等が選択可能)

4:医師の働き方改革推進に関する取組として以下(1)、(2)を全て実施すること(病院等が選択可能)

(1)労務管理体制の構築等

ア.労務管理責任者を設置し、責任の所在とその役割を明確にすること

イ.医師の副業・兼業先との労働時間の通算や医師の休息時間確保に係る協力体制の整備を行うこと(副業・兼業を行う医師がいる場合に限る)

ウ.管理者層に対し、人事・労務管理のマネジメント研修を実施すること

(2)医師の労働時間の実態把握と管理

ア.労働時間と労働時間でない時間の区別などを明確にした上で、医師の労働時間の実態把握を行うこと

イ.医師の勤務計画を作成すること

上記の成果目標に加えて、対象事業場で指定する労働者の時間当たりの賃金額の引上げを3%以上行うことを成果目標に加えることができます。

事業実施期間

事業実施期間中(交付決定の日から2024年1月31日(水)まで)に取組を実施してください。

支給額

取組の実施に要した経費の一部を、成果目標の達成状況に応じて支給します。

以下のいずれか低い方の額

1)成果目標1から4の上限額および賃金加算額の合計額

(2)対象経費の合計額×補助率3/4(※)

※常時使用する労働者数が30人以下かつ、支給対象の取組で6から9を実施する場合で、その所要額が30万円を超える場合の補助率は4/5

(1)の上限額

○成果目標1(1)達成時の上限額

事業実施後に設定する時間外労働時間数等事業実施前の設定時間数
現に有効な36協定において、時間外労働時間数等を月80時間を超えて設定している事業場現に有効な36協定において、時間外労働時間数等を月60時間を超えて設定している事業場
時間外労働時間数等を月60時間以下に設定250万円200万円
時間外労働時間数等を月60時間を超え、月80時間以下に設定150万円

○成果目標1(2)達成時の上限額

事業実施後に設定する時間外労働時間数等事業実施前の設定時間数
現に有効な36協定において、時間外労働時間数等を月100時間を超えて設定している事業場現に有効な36協定において、時間外労働時間数等を月90時間を超えて設定している事業場現に有効な36協定において、時間外労働時間数等を月80時間を超えて設定している事業場
時間外労働時間数等を月80時間以下に設定250万円200万円150万円

○成果目標2達成時の上限額:1日増加ごとに25万円(最大で100万円まで)

○成果目標3達成時の上限額

休憩時間数「新規導入」に該当する
取組がある場合
新規導入」に該当する取組がなく、「適用範囲の拡大」又は「時間延長」に該当する取組がある場合
9時間以上11時間未満100万円50万円
11時間以上150万円75万円

○成果目標4達成時の上限額:50万円

賃金額の引上げを成果目標に加えた場合の加算額は、指定した労働者の賃金引上げ数の合計に応じて、次の表のとおり、上記上限額に加算します。なお、引き上げ人数は30人を上限とします。

■常時使用する労働者が30人を超える中小企業事業主の場合

引き下げ人数1~3人4~6人7~10人11~30人
3%以上引き上げ15万円30万円50万円1人当たり5万円
(上限150万円)
5%以上引き上げ24万円48万円80万円1人当たり8万円
(上限240万円)

■常時使用する労働者が30人以下の中小企業事業主の場合

引き下げ人数1~3人4~6人7~10人11~30人
3%以上引き上げ30万円60万円100万円1人当たり10万円
(上限300万円)
5%以上引き上げ48万円96万円160円1人当たり16万円
(上限480万円)

締め切り

申請の受付は2023年11月30日(木)まで(必着)です。なお支給対象事業主数は国の予算額に制約されるため11月30日以前に受付を締め切る場合があります。

働き方改革推進支援助成金利用の流れ

利用の流れは、以下の通りです。

交付申請

「交付申請書」を最寄りの労働局雇用環境・均等部(室)に提出

事業実施

交付決定後、提出した計画に沿って取組を実施

支給申請

労働局に支給申請

申請方法

申請は書類の提出を持って行われます。コースごとに申請に必要な書類は違いますので、要項をよく確認してください。なお改善事業の取組は必ず交付決定後に実施してください。

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