年次有給休暇(時間単位取得)の導入

時間単位の年次有給休暇制度を導入する場合には、就業規則への記載と労使協定の締結が必要になります。

目次

就業規則への記載

時間単位の年次有給休暇制度(以下「時間単位年休」)を導入する場合には、就業規則に年次有給休暇の時間単位での付与について定めることが必要です。

年次有給休暇の時間単位での付与に関する就業規則の規定(例)
(年次有給休暇の時間単位での付与)
第〇条 労働者代表との書面による協定に基づき、前条(注)の年次有給休暇の日数のうち、1年について5日の範囲で次により時間単位の年次有給休暇(以下「時間単位年休」という。)を付与する。
(1)時間単位年休の対象者は、すべての労働者とする。
(2)時間単位年休を取得する場合の、1日の年次有給休暇に相当する時間数は、以下のとおりとする。
  ① 所定労働時間が5時間を超え6時間以下の者・・・6時間
  ② 所定労働時間が6時間を超え7時間以下の者・・・7時間
  ③ 所定労働時間が7時間を超え8時間以下の者・・・8時間
(3)時間単位年休は1時間単位で付与する。
(4)本条の時間単位年休に支払われる賃金額は、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金の1時間当たりの額に、取得した時間単位年休の時間数を乗じた額とする。
(5)上記以外の事項については、前条(注)の年次有給休暇と同様とする。
(厚生労働省 都道府県労働局 労働基準監督署ホームページより)

労使協定の締結

実際に時間単位年休を導入する場合には、就業規則の定めるところにより、労働者の過半数で組織する労働組合または労働者の過半数を代表する者との間で、書面による協定(労使協定)を締結し、以下4項目を労使協定で定める必要があります。
なお、この労使協定は所轄の労働基準監督署に届け出る必要はありません。

①時間単位年休の対象者の範囲
②時間単位年休の日数
③時間単位年休1日分の時間数
④1時間以外の時間を単位として与える場合の時間数

時間単位年休を導入するメリット

会社側のメリット労働者側のメリット
①有給休暇の取得率向上
②会社のイメージアップ
③従業員の満足度、生産性の向上
①有給取得の効率化、利便性の向上
②有給休暇を取得しやすい環境になる

時間単位年休を導入するデメリット

企業側のデメリット労働者側のデメリット
①有給休暇の管理が煩雑になる
②時季変更権が認められにくい
①有給休暇の残日数が把握しづらくなる

時間単位の有給休暇に関して解説しました。時間単位年休は、1時間など細かい時間で有給休暇が取得できるものなので、短時間での用事や中抜けしたいときに利用できる便利な制度です。
しかし、有給休暇の管理が複雑になったり、1日単位での有給休暇が取得しづらくなったりする可能性があることは、デメリットとして把握しておきましょう。
また、時間単位年休の上限は年5日までであることや、有給休暇の取得義務の日数には含まれない点に注意する必要があります。

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